1. 16:36 3rd 2月 2012

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    64 :岩波書店の内幕1:2011/12/31(土) 17:14:52.25 ID:JlTHe1XDP
     先日、岩波書店の内情をよく知る人物と話した。それがすごく面白かったん
    で、その話を。
     岩波書店はみんな知ってるはず。一時は「日本の知性」といった印象すらあっ
    た出版社。映画の配給や上映なんかもしてたね。
     もちろん書籍と雑誌を出しているんだけど、ここの雑誌が、とても浮世離れし
    ているという。
     全部ではないけれど、一部の雑誌では、著者原稿の半分以上がまだ原稿用紙で
    来るんだそうだ。凄いなあ(笑)。そのレベルでは、著者とのやり取りもメール
    じゃなくて電話電報ってのが多そう。
     当然、そうした雑誌ではDTPなんか取り入れておらず、昔ながらの写植製版だ
    ろう。


    65 :岩波書店の内幕2:2011/12/31(土) 17:17:34.61 ID:JlTHe1XDP
     だいたい、雑誌の名前が凄いよね。
     6誌あるんだけど、「図書」「世界」「科学」「思想」「文学」「環境と公
    害」だぜ。これ誌名じゃなくて、辞典の項目名だろ(笑)。編集者が考えたタ
    イトルとはとても思えないじゃん。創刊企画は楽だろうなあ。
     岩波がDTPできない理由を、もうひとつ聞いた。それは、日本語についての
    「岩波ルール」が厳格であり、かつ大量にあること。
     もちろんどこでも出版社の用語遣いは、社内で統一されるのが一般的。その
    際は、たとえば各新聞社が出版してる「用字用語集」に準拠する、などと決め
    るのが普通。楽だから(実はWeb時代になってこれが崩れてきてて、そこんと
    この考察も面白いんだが、本筋でなく例によって長くなるんで、いずれまた)。
     話を戻す。岩波の場合、ルビひとつとっても、もの凄く厳密らしい。たとえ
    ば「漢字3文字の用語に対しルビ4文字を振る場合は、こうこうの位置に割り
    振る」って、個別に全部決めてあるという。ルビひとつでこれじゃ、たしかに
    DTPは永遠に無理だ。



    66 :岩波書店の内幕3:2011/12/31(土) 17:21:16.76 ID:JlTHe1XDP
     で、編集者は分厚い「岩波ルール」を片手に編集する。
     ルール命なんで、編集者より校閲とか編成のほうが権力を持ってて社内でえ
    ばってるんだと。フツーの出版社の感覚では、信じられない状況だ。中世中国
    の役人組織みたい(笑)。
     ファンに年寄りの多い浮世離れした出版社だしこの不況だしで、もちろん書
    籍も雑誌も売り上げはガンガン減ってるらしい。
     ではなんで潰れないかというと、「広辞苑」という化け物看板があるから。
    熱心なファンは多く、改訂されれば必ず買う人が多い。並装と革装の両方持っ
    てる人もザラだ。加えて電子辞書には必ず入っているし、ファンはもちろんそ
    れも押さえている(ちなみに電子辞書コンテンツはものすごく買い叩かれる)。
    まあ、いろいろ聞いたけど、ある意味うらやましい出版社だ。ちなみに社員の
    給料は高い。編集者は東大出身が多い。「岩波なら書く」という知識人(特に
    大学のセンセイ)がいるので、著者にも事欠かない。
     もっと書けば、現状、書籍を買い切り(売れ残りは書店が損を被る)で出荷
    している出版社は、岩波くらいだ。ほとんどの出版社は委託(返本あり)の契
    約。こんだけ出版社が多くても私の知る限り、あと買い切りで書籍を出してい
    る(た)のは、一時のアスキーと静山社くらい。つまり岩波は特別ってこと。
    普通は取次に受け付けてもらえない。


    67 :岩波書店の内幕4:2011/12/31(土) 17:23:18.67 ID:JlTHe1XDP
    業界人以外の方に一応書いておけば、静山社ってのは要はハリーポッターよ。
    静山社が買い切りにこだわったのは、ベストセラーの怖さを知るから。ってわ
    かんないよね。これまた脱線して長くなるんで、明日書きます。
    またしても力技で岩波に話を戻す。今回なんか疲れるな。
    ここまで読むと揶揄してるように思うかもしれないが、私は本心から岩波を
    尊敬している。というのも、岩波文庫でしか読めない世界の古典的名著が鬼の
    ようにあるからだ。売れっこないローマの将軍の従軍記なんて読めるのここだ
    けだぜ。
    普通で考えたら、そんなん全部切って儲かる辞書中心に運営したほうが、絶
    対楽だし儲かる。
    世間には、こうした浮世離れした出版社がひとつくらいあっていい。文化のた
    めにその位置でぜひ踏ん張っていてほしい。マジで。
     
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